新世界より、読了!!
めっちゃ面白かったよ。
2018年読んだ本の中でナンバーワン!!
1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身に着けていた。
注連縄に囲まれた自然豊かな集落「神栖66町」では、人々はバケネズミと呼ばれる生物を使役し、平和な生活を送っていた。その町に生まれた12歳の少女・渡辺早季は、同級生たちと町の外へ出かけ、先史文明が遺した図書館の自走型端末「ミノシロモドキ」と出会う。そこから彼女たちは、1000年前の文明が崩壊した理由と、現在に至るまでの歴史を知ってしまう。
禁断の知識を得て、早季たちを取り巻く仮初めの平和は少しずつ歪んでいく。
wikiより引用
とにかく、完成度が高い世界観にストーリー。
伏線の回収が素晴らしく、話の終わり方もよかった。
もし現実の世界で超能力を使える人が突如出始めたら…?
鍵掛けてても簡単に開けられる世界をリアルに想像すると、めっちゃ怖いし、そりゃ秩序は崩壊するよな、と思う。
だって核爆弾のスイッチだって簡単に押されちゃうんだぜ…。
私達には違和感ありまくりの早希達の世界は、あれはあれでひとつの形として合理的だと思う。
17歳まで人権がなかったり、洗脳に近い情操教育、能力がないものや悪鬼や業魔の芽を早急につむこと。
すごい残酷なんだけど、悪鬼や業魔たったひとりうまれることによる惨劇を思うと、ボノボの習性までも活用する大人たちの気持ちが分かるよ…。
ある意味それでうまく回っていたわけだけど…。
そしてバケネズミ。
どうしてネズミに知性を与えたんだろう?
なぜ、化鼠管理課じゃなくて異類管理課なのか?
早希の疑問は最後に悲しい解答がでる。
まさか人間だとはね…。人間をバケネズミ化させた、とはね…。そんな事するなら、もはや知性を奪って欲しかったよ。
超能力をもつ人間VS持たない人間の戦いは、なんと形を変えてまだ続いていたのである。
こわい。
スクィーラが本当に狡猾でムカつくやつだったけど、バケネズミの視点から見たら負けてしまったけど英雄だよね…。もはやコロニーとかそんな規模で動いてなかった。すべてのバケネズミを解放するためにやっていた。
女王にロボトミー手術をするのも残忍だけど、ひとりひとり知性があるバケネズミを女王が統治するというやり方は、バケネズミが賢くなればなるほどひずみは出てくるんだろうな。
36歳の早希が書いている物語だから、きっと死なないんだろうなとは思いつつ、バケネズミの戦争に巻き込まれる時とか、病院で悪鬼と遭遇する時とか、東京での攻防のところは、もうハラハラしっぱなし。死ぬんじゃないかと何回も思ったわ。
それにしても瞬…。悲しいよ。
聡明が故に、業魔になってしまったんだろうね。ミノシロモドキに出会わなければ、もっと違う人生だっただろう。
守も真理亜も…悲しすぎるよ。
もし早希達が見つけて連れ返す事ができたら、どれだけよかったことか。
そして覚はさ、カッコいい…!!
実践力があるっていうのかな。瞬とはまた違った聡明さがあるんだろうな。とにかく、頼りになる!!!
早希は、サイコパスの常守朱みたいなタイプかな?
別に悲しまないわけでも辛くないわけでもない。精神が汚染されにくいタイプ。スクィーラを灰にするところはちょっと泣けた。
しかし、バケネズミ達は、風船犬とかヒトモドキとか様々なタイプのバケネズミを産めるようになっており、もしかしたら人間の姿を取り戻すのもそう遠くないかもしれない。
攻撃抑制と愧死機構を取り除いていかねばならない世界は、意外とすぐそこまでやってきているかもしれない。
想像力こそが、すべてを変える。
あーーーーーーー、そうだね…。
手元に置いて、何回も読み返したくなる本でした。